キーンコーンカーンコーン――――……


「あ、予鈴。じゃぁ風野くんまた放課後にね」

「おう」

俺と別れると深雪は急いで教室に戻る。

2年と3年の教室なんて階1つ違うだけでそんな急ぐもんでもねーと思うけどな。


――ガラッ


教室に入るとクラスメイトが3、4人寄ってきた。なんだ?

「なぁ、風野って3年の支倉先輩と付き合ってんだろ?」

「ん、まぁな」

正確には婚約者だけど。

「それが?」

「あの人のどこがいいんだよ」

「あ?ケンカ売ってんのか?」

俺が睨むと慌てて、

「いや、そうじゃねーよ!たださ、可愛めだけど顔とか普通じゃん?どこがいいのかなーと」

弁解してきた。パー商の荒れっぷりなめんなよ。

「んなの全部に決まってんだろ。深雪以外の女とかありえねぇし」

「ほら、言いにくいけどお前と先輩ってあの事件で出会ってるわけだし吊り橋効果とか」

「そんなので転校までするかよ」

「年上だと疲れんじゃねぇの?」

「別に。よく言うだろ『愛に年の差なんて』」

どうやらこいつらは徹底的に深雪とは合わないと言って欲しいらしい。

「でも風野とあの人だと話とか合わなさそうじゃん」

「んなことねぇよ。つーか何、深雪には何の不満もないし、別れるつもりとかないんだけど」

「や、そんなつもりじゃ――――」


キーンコーンカーンコーン――――……


「本鈴、なったぜ?」

「……っ」

本鈴で散ってったあいつらは確かクラスのオヒメサマの取り巻きだったな。

あいつ、最近やたら俺にまとわりついてきてうぜーんだよな。そのせいか。

こういう時、学年てかクラス違うと面倒だ。休み時間も会えねーし。

…早く放課後になんねぇかな。


キーンコーンカーンコーン――――……


「風野くん!」

「帰ろーぜ。なぁ、今日ちょっと寄り道しねぇ?」

あーやっぱ深雪はいいなー。

「うん、いいよ。どこ行く?」

「そーだなー…」

「風野くんっ!!!!」

「あ?」

呼ばれて振り返るとさっきのオヒメサマがいた。

「ねぇ風野くん。美味しいケーキが売ってる喫茶店見つけたんだけど一緒に行かなーい?」

「それどこ?」

「え?交差点前の『クラウン』だけど」

「サンキュ。深雪、そこ行ってみるか?」

「え!?えっと…」

「やっぱこんな女が言ったとこは微妙?だよな、どこがいいかなー…」

「ちょっとぉ!アタシが誘ってあげてるのにほかの子誘うってどういうことよぉ!」

「あ?俺は深雪と約束してんだよ。アンタの誘いに乗る義理もメリットもないね」

「だったらこーんな冴えない人と行くメリットだってないじゃない!アタシよりこんな人がいいわけ!?」

ウゼー…

「あぁいいね。深雪はお前の100万倍イイ女だ」

「アタシのどこがこの人に負けてるって言うの!?どこにでもいるただの女じゃない!」

「全部。顔、性格、全てにおいてお前じゃ深雪に勝てねーよ。つーか、それ以上言ったらただじゃおかねーぞ」

「っ!アタシを振った事後悔するんだから!!」

「ねぇよ。はー、やっとうるさいのがいなくなった。深雪大丈夫か?」

「え、うん。あの子の言葉より風野くんの言葉が嬉しくて。あの子、良かったの?」

やっぱ深雪は可愛い。あんな女やその取り巻き共に分かられてたまるか。

「いーんだよ。最近付きまとわれてうざかったし、それにあいつ取り巻きすげーいるんだぜ?俺も入れたかっただけ」

「ふーん…」

「どうした?」

「あの子可愛かったなーって」

「どこが!?」

「どこって全体的に」

あれを可愛いって言う深雪がわかんねぇ。いや、普通に見たら可愛いのか?

「深雪の方が断然可愛い」

「…ありがと」

今!今すげー可愛かった!照れた感じがすげー可愛かった!

あぁ、やっぱり俺は

深雪が大好きだ!!






〜END〜


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ちょっとキャラ崩壊?風野はメロメロだ!でもって深雪がいない!?名もないオリキャラとの会話ばっかですね…

この中では深雪に対していろいろ書いちゃってるけど卯月はそんな風には思ってません。

でも深雪は美少女でも美女でもなくどこかにいそうな可愛い女の子だと思います。

冴えないっていうのはギャルみたいな人から見た話です。風野はそんな人たちからモテそうですよね。

ブログの拍手にコメントをくれたマリモさんが風野が好きということで、前から考えてたネタを書き起こしました。

背景はブーゲンビリア(ピンク)、花言葉が【魅力に満ちている】だそうです。

こんな小説で良ければ初めてコメントをくれたマリモさんに(勝手に)捧げたいと思います。