今日はバレンタイン、風野くんは彼氏なんだしって意気込んで来た、のに…

「…………」

「深雪?どうかしたか」

「…チョコいっぱい貰ってるね」

「ん?…ああ、製菓会社の陰謀とはいえバレンタインってタダで菓子くれるからいーよな」

「ふーん…」

「?なんだよ」

やっぱモテるなぁ学年違うからちゃんと知らないけどいつも周りに女の子いるし…知ってたけどそれでも結構量あるなぁ。

彼女がいても渡すのって望みがあるって思うからなのかな…

「深雪は?」

「え?」

「チョコ。ねーの?」

「それだけあったら要らないんじゃないの?」

「…………」

「な、何?」

「深雪さ、嫉妬してる?」

「!」

「俺が他の奴からもチョコ貰ったから?」

「……うん」

あからさまな態度を取ったとはいえバレると恥ずかしい。面白くなかったのも事実だし…

「大丈夫だって、俺貰ったチョコ食わねーから」

「食べないの?」

「妹にやる。経済的に助かるから貰うけど俺が欲しいのは深雪からのだけだし」

「まだそんなのやってるの?」

風野くんはあの時、アメリカで手術をしても余るほどお金を手に入れたはずだ。

「いくら株で成功したって習慣は簡単に抜けねーって。…で?」

「何?」

「チョコは?俺は深雪のが欲しいんだけど」

そんなこと言われたら何も言えなって、元々風野くんの為に作ったんだから渡すに決まってる。

「はい…」

「サンキュ。手作り?」

「そうだよ。初めてだからあんまり期待しないでね」

「初めて?ゴーグルの兄ちゃんは?」

「あげてたけど…全部買ったやつだったし」

「ふーん」

ニヤリと機嫌良さそうに笑うものだから

「なんなの?」

「ゴーグルの兄ちゃん悔しいだろうなと思って」

「何が?」

「別になんもねーよ。帰ろうぜ」

「あ、うん」

ついつい私も嬉しくなって

「ホワイトデー返すのお前だけだからな」

「…ありがとう」

笑顔になっちゃうんだよね。






〜END〜


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終わり方微妙。風野は初めての手作りが自分で嬉しいんですよ。風野以外もだと思うけどね。

今まで書いた風野小説全部桜葉の名前が出てる…風野はなんとなく桜葉を意識してそうだなーとか。

タダだから貰うけど自分が食べるのは深雪のだけみたいなのがいいなーって、穂波とは逆パターン。