今日はやけに冷えるな…


「支倉」

「あ、秋山くん。どうかした?」

「今日、練習が遅くなるから先に帰っててくれ」

「そっか。残念」

「ああ、俺も残念だがもう暗くなるのも早いし支倉が心配だ」

残念だと言ってくれるのは嬉しいがやはり心配だ。

「秋山くん…ありがとう」

「はい、ストーップ」

「穂波?」

「公衆の面前でいちゃつくのやめてくれない?見てるこっちが恥ずかしいよ」

「なっ!いちゃついてなんか」

「はいはい、もう部活始まるから行くよ」

「分かってる。じゃあな、支倉」

「うん、頑張ってね」

「…あー、この天然無自覚バカップル…」




この季節だと練習が終わるともう真っ暗だな。

「うわ、雪降ってきた…っていうか吹雪いてない?」

穂波の言うとおり雪は降ってるを通り越して吹雪いて見える。やっぱり支倉には先に帰ってもらってて正解だったな。

「僕、自転車通学なんだけどなぁ」

「確かに危ないし寒いな」

「ルナはバスだからいいよね」

「そうだな。寒くはない」

「じゃあ僕、自転車取って帰るから」

「気をつけろよ」

…激しくなってないか、この雪。バスが動いてるのか心配だな。


校門が見えるとすぐ傍に人影が見えた。

…支倉?今日は先に帰らせたのに。

「はせ…!」

強い風が吹いたかと思ったらそこにいたはずの支倉が、消えた。

「支倉!?」

今すぐ行かないと支倉を失う気がしてすぐに走った。

「支倉!!」

いた。支倉は変らずそこにいた。けど俺はとっさに抱きしめてしまった。

「秋山くん!?そんなに慌ててどうしたの?」

「先に…帰ったんじゃなかったのか?」

「あ、先生から雑用頼まれちゃって…やってたら遅くなったし秋山くんと帰れるかなって」

「そうか…良かった」

「何が?」

「今、支倉が消えた気がして」

「え!?私消えてないよ?」

「そうだな、ここにいる」

良かった、支倉はここにいる。なのにさっきの言いようの無い不安はなんだったんだ…

「!それより、いつからここにいた?」

「えっと…15分くらい?」

「手、かなり冷たいぞ」

「そうかな…秋山くんは温かいね」

「俺はさっきまでテニスやってたからな。もう暗いし寒いし早く帰ろう」

「そうだね」

そこまで言って思い出した。

「なぁ、バス動いてると思うか?」

「え…」

この短時間で雪はかなり積もってる。

「動いてない…かも」

「…歩くか。送る」

「い、いいよ!ウチに寄ってくと遠回りだし!」

「いや暗いし心配だ。…付き合ってるんだからこのくらいはさせてくれ」

「う…ん、ありがとう。寒いし歩きは疲れるけどその分秋山くんと長くいれるからちょっと嬉しい」

「そう考えるとこの雪も少し嫌なものじゃなくなるな」

「うん、それでも寒いけどね」

「だったらもう少しこっち来い。その方が温かいだろ」

「やっぱりこの雪には感謝だね」

「そうだな」

支倉の傍に長くいれるからな。






〜END〜


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消えちゃいそうな(てゆーか消えちゃった)深雪ちゃんシリーズ第3弾。作る予定はなかったけど思いついちゃったんで。

この話考えたの多分睦月です。そして現在葉月…季節外れにも程がある。実行するのが遅すぎる。

ルナの体で走ってこられたら怖いよね。でもって秋深だと恥ずかしい台詞だらけになるのは何故だろう。え?他も一緒?

自分では抑えたつもりです。可愛いとか好きだとか愛してるとか言ってないし!感想くださーい…