「風野くん、帰ろー」

「おー」

俺が金鳳に通い出してから深雪とはほとんど一緒に帰ってる。

深雪も帰りに友達と遊ぶことだってあるわけだし…

今日はHRが終わるのが深雪の方が早かったみたいで教室まで俺を迎えに来た。

「最近は暗くなるのが早いね」

「そーだなー」

すでにあたりは薄暗くなっていて、でもその分深雪がいつもより近くに居る気がして嬉しかったり。

「部活動やってるやつは大変だな」

「そういえば帰宅部って私たちだけだね」

「あー、会長さんは生徒会で、ゴーグルのにーちゃんは写真部で、金髪のにーちゃんと筋肉のにーちゃんはテニス部だっけ?」

「うん。あ、でも葵先輩はもう引退したかな」

取り留めのない話をするのが無性に楽しくて、やっぱ深雪が好きだなーと改めて思う。

「あ、雪降ってきた」

「マジで。どーりで寒いわけだよ」

「ほんと」

「お前と同じ名前だよな」

「うん。だからかな、小さいときから雪が降るとすごく嬉しくなるの」

そういった深雪は少しさきにいて、踊ってるみたいにくるくると、まるで雪と戯れてるようだった。

雪の精みたい―――

ガラにもなくそう思った。

同時に雪に溶け込んで、消えてしまいそうだとも思った。

薄暗い周りも、降る雪も、周りに人気がないのも、全てが深雪を連れて行く原因にしか思えなかった。

深雪のすぐそばに高坂が立ってる気がして、

「っ深雪!」

とっさに、深雪を抱きしめていた。

「風野くん!?」

深雪が反応してくれたことにすげー安心して、ありえねーだろと自分に呆れた。

「急にどうしたの?」

「んー、なんか深雪がどっか行っちゃいそうで」

「どっかって…どこに行くって言うの?」

「ゴーグルのにーちゃんとことか」

「なんで桜葉くん?そんなのすぐ会えるでしょ?」

「そーだけど…」

「風野くん、私は何があっても風野くんのそばにいるよ。だから、安心して?」

さらっと言える深雪はすげーと思う。

「は…男前なセリフだな」

「え!?そう?」

「そーいうのって男が言うもんだろ」

「じゃあ風野くん言ってくれる?」

またしてもさらりと言う。

「だから、そーゆーのが男前なんだって」

「えぇ?」

やたらと男前な深雪も困惑する深雪も、全てが愛しい。

「深雪」

「何?」

「好きだ。愛してる」

顔を真っ赤にしてる深雪はやっぱり可愛くて、こういう顔してくれんのは俺だけだよなと安堵する。

「だからずっとそばにいてくれ」

「…もちろん」

深雪の全てが好きだけど、赤い顔のまま笑った深雪の顔が一番好きだと思った。






〜END〜


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消えちゃいそうな深雪ちゃんシリーズ第2弾です。これで終わりですが…全員分はさすがにシチュエーションが思い浮かばない。

風野好きだー。いいなー深雪は風野と結婚できて(笑)あれはプロポーズですよね。それを断れる深雪すげぇ。

穂波で黒陵館学園の話題を出したので風野では出しませんでした。先生は出したな。立ってたら怖ーよ先生。

感想聞かせてくださーい。