今日は朝から雪が降ってた。
部活が終わって、彼女と帰る頃にはあたり一面に積もってた。
「うわぁ…まだ降ってるね!」
「明日はもっと積もるかもね」
「本当?じゃあ雪だるま作ってみたいな」
「だったら、明日学校休みだし一緒に作る?」
「デート?」
「僕はそのつもりだけど?まぁ少し子供っぽいけどね」
「…一言余計」
「言っとくけど僕がこんなことに付き合ってあげるの支倉さんだけなんだからね」
「こんなことって…ありがとう」
嬉しそうに、でも少し照れくさいのか僕より先を歩く。
「ね、そこの公園で少し話さない?」
「いいけど…どうしたの?」
「せっかくの雪だし、穂波くんともうちょっといたいなと思って」
公園のブランコに二人して座って、彼女はゆるくブランコをこいでいた。
「支倉さん、やけに雪にこだわるね」
「うーん…やっぱり自分の名前に雪が入ってるからかなぁ」
「深雪…そうだね」
「ふ、不意打ちズルイ…」
「そんなことないよ」
「あとは…桜葉くんと雪が降るたびに遊んでたからかな」
「桜葉…凄い想像できるね」
脳裏を過ぎったのは雪だとはしゃぐ桜葉に負けないぐらいはしゃいでる彼女の姿。
「なんか失礼なこと考えてない?」
「そんなことないと思うけど」
そういうと彼女は少し怒ったような拗ねたような表情をしてブランコから離れていった。
丁度公園の真ん中あたりで止まって降ってくる雪を見つめた。
「雪…綺麗だなぁ…」
小さく呟いたときの彼女が美しくて、
でも酷く、脆く儚くて、
今にも消えてしまいそうだった。
「…支倉さん」
聞こえなかったのか、彼女はただ雪を見てる。彼女と同じ名前の雪を見てる。
彼女がどこか僕の手の届かない、
それこそ、ここは黒陵館学園でもないのに、
もう二度と会えない気がした。
彼女のそばに行ったのは無意識だと思う。
「支倉さん」
「穂波くん?」
僕の名を呼んでくれたことに酷く、安心した。
優しい、優しい表情のまま彼女は僕を見る。
でも次の瞬間驚いたような、心配そうな表情に変わって
「大丈夫?」
言われた言葉が理解できなかった。
「何が?」
「黒陵館学園で冷凍庫から出たときみたいな顔してる」
すごく具体的な例を出した彼女は手を広げて
「私ならここにいるよ。ずっと、穂波くんのそばにいるから」
僕を抱きしめた。
あそこから無事に脱出できて、彼女がこうして僕に笑いかけてくれることが奇跡だと、
あの出来事で痛いほど感じた。
七人で脱出できたのは彼女が起こした奇跡だと思う。
でも、同時にあっけなく人が死ぬことも痛感した。
この言いようもない不安はそのせいだろう。
僕なんかを好きだと言って笑ってくれる、
彼女がここにいて、僕に応えてくれる。
それだけで全ての不安から救われる気がした。
「ねぇ、さっきの黒陵館学園で冷凍庫から出たときみたいな顔ってどんな顔」
「え…うーん…すごく怯えてるけど安心したような顔?」
聞いておいてなんだけど当たってて驚いた。
「…すごいね、支倉さんは」
「…?何が?」
自分のことを良く分かってない彼女がとても愛しくて、とにかく言葉にしたくなった。
「支倉さんのことが好きだよ」
「答えになってないし…穂波くんの方がすごいと思う…」
そういった彼女の顔は耳まで赤かった。
〜END〜
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なんか予想以上にシリアス?暗く?なってしまった…。穂波好きだよー。風野の次に。
次はもうちょっとほのぼのした明るいの書こう…でも次は風野で似たよーな話書くし、次は葵先輩だし、ルナまだ書いてないし…
よしルナでほのぼの書こう…クラキミは風野>穂波>桜葉>秋山>葵>神子元=綿貫>高坂(兄)>高坂(弟)の順で好きだな。
先生の話は絶対書かないと思う。ていうか書きたくない…