最近、千鶴がめちゃくちゃ可愛く見える。
いや、可愛いのは前からだったけど、前とそんなに変らないはずなのになんか可愛い。
「……君」
見てるとぼーっとするっていうか時々倒れそうになる。
「……け君」
可愛いと思うのに逃げ出したくなるっつーか。
「…すけ君」
10秒以上見てたら死ぬんじゃないかと思うくらい可愛い。
「…いすけ君」
幻聴まで聞こえる気がするし、なんだこれ?
「平助君!!」
って
「千鶴!?」
「平助君大丈夫?」
「な、なにが?」
「さっきから難しい顔して考え込んでて呼びかけにも気付いてなかったから」
幻聴じゃなかったのか…
「町でなにかあったの?」
「あ、ああ」
おまえのこと考えてたとか言えねー…
「私でなにか力になれることがあったら何でも言ってね」
にっこり笑う千鶴が可愛くて、距離がなんか近くて、
「う、わぁ!!」
「きゃ…!」
気付いたら突き飛ばしてた。いや動揺しすぎて全く力入ってなかったけど!
「へい「ごめん!」
駄目だ駄目だ駄目だ!千鶴の顔が見れない!謝ると同時にオレは千鶴の前から逃げ出していた。
「へい「ごめん!」すけ、くん…」
なにが起きたのかよくわからなかった。
平助君は考え事をしてたけどいつもみたいに話してたはずなのに押されて、謝られて。
私、気付かない内になにかしちゃったのかな…
「千鶴?どうした、んなとこで」
「原田さん…」
「千鶴!?どうしたんだよ、いきなり…」
原田さんに会ったら不安な気持ちが止まらなくなって気付いたら泣き出してた。
「私…平助君に嫌われてしまったかもしれません」
言葉にしたらますます悲しくなって、そんな私に原田さんは優しく頭を撫でてくれた。
「何があったんだ?平助の奴がお前を嫌うわけないだろ」
「でも…話をしてたら急に…逃げて行って…私、気付かない内に何かしちゃったんじゃ…」
「あーー……千鶴、そりゃ大丈夫だ。平助が悪い、お前は何もしてねぇよ」
「本…当ですか?」
「ああ。平助は絶対にお前を嫌ってない。もっかい平助んとこ行って話してこい」
「はい!」
本当は、また拒絶されたらと思うと怖かったけど、いつも平助君といる原田さんの言葉を信じたい。
―――バタバタバタッ
「平助君っ」
「ち、づる?」
驚いた。ついさっきあんな事しちまったし、それに千鶴の目が赤くなってたから。
「平助君、私、平助君に何かしちゃった?」
「はぁ!?」
「な、何かしちゃったのならごめんね。もうしないように気をつけるから…だ、から」
話してる千鶴の目に涙が溜まって零れそうになったところでたまらなくなって抱き締めた。
「ごめん」
「へい、すけくん」
「千鶴が何かしたとか、そんなんじゃねーから」
「そう、なの?」
「オレが…オレが千鶴といるとおかしかったから」
「な、んで?」
「わかんねーけど…でも、絶対に千鶴が嫌いになったとかそんなんじゃないから」
「そ…か、良かったぁ」
安心したように笑う千鶴に申し訳なくなった。
「ごめんな」
「あいつら…まだ気付いてねぇのか」
そういった左之さんの呟きは空気に溶けてオレたちに届くことはなかった。
〜終〜
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最後の一文が蛇足っぽい。平助自覚前、そしてまだ気付かない。でもって左之さんが偽者…
平助はそこまで鈍くないと思うけど話の都合上こうなりました。
まさか平助が千鶴を抱きしめるなんて…!!書いてた自分でびっくりです。
一君で書きたい話あるんだけど、平助と千鶴以外誰も書けないって不便すぎる。
タイトルはこんな態度になったのも泣いちゃったのもあなたのせいですよ、みたいな。
感想聞かせてほしいなーっていう願望。