「なぁ!土方さんに許可貰ったから今から町に行こーぜ!」

「本当!?」

巡察について行ってるとはいえいつもではないし、

外に出られるというだけで滅多に外に出ない私にとっては嬉しい。


「ねぇ平助君。なんで今日連れ出してくれたの?」

「昨日の巡察でさ。千鶴の好きそーな小物売ってる店、見つけたんだよ!」

「そうなの?じゃあ楽しみにしてるね」

「おう!」


「あ!千鶴っ!ほら、こっち!」

「ま、待って!」

急に走り出した平助君に置いていかれない様に足を動かした。

「ここ!」

どうだと言わんばかりの平助君の態度と気遣いにまだ見てもないのに嬉しくなってしまう。

「わぁ…!すごい、綺麗…」

そこに置いてあったのは派手ではないが一つ一つ細部にまで手の込んだ小物たちだった。

「だろ?ここ見た瞬間千鶴の笑顔が思い浮かんでさ」

「うん。可愛い」

「おや、お兄さんたち。恋人に贈り物かい?」

「ちっちげーよ!そ、そんなんじゃなくて…!」

「照れなさんな。そーだねぇ…恋人に贈るならこれとか――」

あ…『お兄さんたち』…そっか。傍から見たらそう見えるんだよね…

女だって隠さなきゃいけないのに…こんな気持ちじゃダメだよね。

「お兄さん、どれか買うかい?」

「あ、いえ。私はいいです…」

「千鶴?どうかしたか?」

顔に出てたかな…

「ううん、なんでもないよ」

精一杯の笑顔で答えれてると思う。

「……おばさん!これちょーだい!」

「はいよ」

平助君も誰か女の子にあげるのかな…


どうしてだろう…行きはあんなに楽しくて嬉しかったのに。

「…千鶴、これ」

「え?…これさっきの、どうしたの?」

「千鶴に」

「な、なんで?私、男の子の格好してるのに」

「あーやっぱ、それでへこんでたんじゃん」

「何が…」

「おばさんに話しかけられてから!嬉しそうだったのに急に黙るし、笑っても引きつってるし」

「あ…」

「あのさ、千鶴は男装して男の真似しなきゃダメだけど」

「うん」

「お…オレはもう千鶴を女としか思えねーし…千鶴のことは可愛い女だと思う…」

「平助君…」

あぁなんで平助君には思ってたことと言って欲しかったことがばれてるんだろう。

「だ、だから!その…なんていうか…」

「…ありがとう平助君、帰ったら美味しい御飯作るから一緒に食べよ?」

不思議だなぁ。平助君が言葉をくれるだけで全部嬉しくなる。

「おう!じゃあ急いで帰ろうぜ!オレ腹減ったー」

「うん!」






〜終〜


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…なにが書きたかったかというとですね、男の子扱いされてへこむ千鶴にオレは女だと思ってるって言わせたかったんです。

でもきっと千鶴はこれくらいじゃへこまないと思う、うん。美味しい御飯は私なりの女の子アピールです。

ここまで読んでくれた人はまぁ、流してください。さらっと美しく。

でも、肯定否定の意見は受け付けるので感想聞かせてくださーい。