いつだったか、千鶴が既に一人の女の子としてしか見れなくなった頃。

誰にでも変わらぬ態度で接している千鶴の気持ちが全く分からなくて、

オレは普通を装って千鶴に聞いてみたことがある。

『千鶴はさー、この中で好きなやつとかいねぇの?』

千鶴は考えるそぶりも見せず、

『皆さん、本当に大好きです!』

眩しいぐらいの笑顔で答えて見せた。

これはそう遠くない過去の出来事だったはずだ。

それなのに、

「へーすけくん、だいすきー」

何故にこにこと笑ってオレを大好きだなんて言ってるんだ?


千鶴がこうなってしまった理由は簡単だ。

間違って酒を飲んじまったんだ。それも、かなり度のきついものを。

酒を飲んで少しの間は特に変わりなかったから誰も気付かなかったけど、段々と頬が染まり目がとろんとして、

少し舌足らずなようなしゃべり方になって、皆がおかしいと思ったときには既にできあがってた。

「なんで、へーすけくんとぉいの?」

そう言って千鶴はオレのところまで来て腕にしがみついてきた。

「ちっ千鶴!?」

「へーすけくん、だいすきー」

にこにこ。

「へーすけくんはー?」
にこにこ。

新八っつぁんなんだよその目は。左之さんやめろよその顔。

「おい、千鶴ー。腕なら俺の掴めよ」

左之さんの呼びかけに対しても、

「やぁだー。へーすけくんのところいるのー」

だし。総司が、

「千鶴ちゃん、平助御飯食べれなくて困ってるよ?」

とか言うと、

「じゃぁ、たべさせてあげる。……はい、あーん」

なんて実行に移そうとするし。

「いやいや!大丈夫!大丈夫だから!」

「そぉなの?」

なんて、悲しそうな目すんなよ!オレにどーしろってんだよ!

「な、泣くなよ!食べる!食べるから!」

「ほんとう!?」

あー、可愛いなぁ。そう思うオレって重症なんだろうか。

「はい!あーん」

「あ、あぁ」

皆がにやけてるけど気にするなオレ!

「おいしい?」

「お、おう」

「ほんとぉ?やったぁ」

その後しばらくは皆の視線が痛い中飯を食べさせてもらって、

食べ終わったら眠そうな千鶴を部屋まで運んだ。

下ろすとき千鶴は、

「へーすけくんだいすき。へーすけくんは?」

また言う。だからオレも、

「…好きだよ…」

と返した。オレの言葉に安心したのか千鶴は笑って、眠ってしまった。




この出来事が、あの時聞けなかった千鶴の本音なら、

今までの痛い視線も、これから散々言われるであろうことも大丈夫だ。

千鶴の本音を聞けた嬉しさを胸にオレは皆のところへ戻っていく。






〜終〜


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まともな千鶴がいない…というか初書きが酔っ払いってどーやねん。

薄桜鬼は難しいなぁ。間違ってる所、変な所があれば教えて下さい。

クラキミの【君がいるから特別になる】とどっちが甘いだろうか?

見てくださった方がいれば本当に感想聞かせてください。